花とお魚と原子核

 画面の向こう側へ。こんにちは。初めてブログを書いてみます。抽象論はまだ書きにくいので、GWの話をします。

 

 5/1(水),ドライブしました。目的地はひたち海浜公園。いつだったか恋人さんとネモフィラ見たいねーって話してたら3年ぶりに行きたくなりました。3年前はコロナ社会2年目。大学はオンライン授業で、友達もいないし一人暮らしだし部活/サークルも入ってないしと、持て余した高揚感と閉塞感が自転車(クロスバイク)150kmプチ旅行へと駆り立てたのでした。その2か月後くらいに恋人さんを隣人として見たのです。懐かしいな。その話もいつか書きます。

 

 ひたち海浜公園には、チューリップ畑とネモフィラの丘がありました。まずチューリップ畑に行きました。旬は終わってて、絶え行く同胞の間で凛として咲く一輪、という構図がまた良い。ぼろぼろの花びらを纏う姿は没落貴族の末裔のようにも見えました。(最近共和制ローマ盛衰のユーチューブを流し見していて、その影響かな?)恋人さんは生物学徒で、チューリップから中々離れない。引きはがしても別の畑に引っかかるのでもはや楽しかった。人生で一番チューリップを観察した時間でした。種類ごとに花びらに特徴があって、名前を付けて分類されていることを初めて知りました。次はネモフィラの丘。ネモフィラといえばひたち海浜公園。どんな青色が私たちを祝福してくれるだろう!って嬉々として向かったのですが、彼女らは下を向いていました。注がれる愛情(雨)を受け止めきれなくてへこたれてるんだよ、という表現は可愛いですよね。へこたれたネモフィラの間をてくてく登っていくと、丘は海に面しているからかめっちゃ暴風でした。それはコウモリ傘が出現するくらいには。看板娘だって下も向きたくなるわ。丘の上。暴風雨。二人の足元にはネモフィラの海が。何かが始まっても良いですね。もう始まってます(惚気)。戻り道では、ところどころに落ちてる黄色い粉の正体を解明しました(多分)。多分、花粉です。水たまりには花粉の集積場がありました。雨粒が落ちて、半球の水塊を作って消えてゆく一連の過程を見ました。水塊の表面で花粉がくるくるしてるのが可愛いかったです。自分は原子核物理学を学んでいて、表面は密度が薄くて不安定になるというのが最近の学びのひとつなのですが、関係あるんですかね。2時間の散歩。あいにくの雨でしたが、寒さと空腹で2時間ちょっとで退散しましたが、「私は楽しいの」って言ってくれたのが嬉しかったです。

 

 そのあとはもうちょっと県央を探索しようと日立おさかなセンターへ行きました。水槽とかあるかなーとか思ってたのですが、中では冷凍された魚やイカ,貝が大量に並べられていて海鮮市場でした。凄くて、それらの中から幾つか買って焼いたり、カスタム海鮮丼したりできます。お昼はサーモンと鯨肉を買って海鮮丼しました。車の中で東京喰種の、『季節は次々死んでいく』のMVで生肉を食べるシーンの話で盛り上がっていたのもあって初めて食べた鯨肉は進みました。動物の肉に似ていた。

 

 最後に、原子力科学館に寄りました。原子力のメッカ東海村は興味分野的に、ちょっとだけ馴染みがありました。まさか恋人と行くとは思いませんでしたが。霧箱の前でベーテ・ブロッホの公式を説明することもできず、T2K実験についてはニュートリノ振動ってなあに??と、原子核物理学専攻こばしは全くの役立たずでしたが、恋人は意に介さず、原子力発電の仕組みを見立てた連鎖反応ドミノを成功させたり、簡易サーベイで近くの物体を測ってたりしてて楽しそうでした。

 

 その日はこれで終わりでしたが(大学のプールで泳いだ)、後日原爆の父と呼ばれる物理学者を描いた『オッペンハイマー』という映画を一緒に見ました。どちらかというと米国内での戦後の政治権力争いにも思えましたが(多分ローマのユーチューブ引きずってる)、そして後半よくわからず眠たくなってしまいましたが、物理学で人望や名声を掴もうとする野心家オッペンハイマーというのも悪くないのではないかと思いました。ローマの英雄たちも戦争で名声を得て栄光を謳歌するし、保身に走ったりもするし必ずしも人格者ではないです。

 

 自分は特に物理系の話題に興奮するし、恋人は生物系に饒舌になるし、これからもお互いの興味に取りこみ合っていけたらと思います。将来大構想に対する前哨戦的なGWでした。